令和5年12月定例会一般質問

令和5年度 第4回川西市議会 一般質問

ふくにし 勝

 令和5年度川西市一般会計補正予算や川西市総合計画基本構想の策定、川西市みつなかホール・川西市総合体育館・川西市市民温水プール・川西市東久代運動公園・川西市斎場・川西市市営住宅等、様々な公共施設の指定管理者の指定の議案等について議論されました。

安全なまちづくりの取り組みに向けて

現在川西能勢口駅の高架事業から25年以上が経過し成熟社会となりました。
中心市街地の人口や世帯数、人口密度はほぼ横ばいで推移し、今後も川西市は中心市街地を核として川西市の魅力を発信し続けると思います。
しかし交通の結節点となっていることから川西市の中部や北部、川西市外を含めて様々な企業、教育機関、福祉施設等への送迎が増えているように認識しています。
特に朝の通勤・通学の時間帯は自転車と歩行者等の事故が起きないか心配になります。
またスマートフォンの普及の影響で歩行者や自転車、車を含めた「ながらスマホ」が増えているようにも認識します。
音楽を聴きながらの事故も想定されます。
ワイヤレスイヤホンが普及し、イヤホンを付けているのかわかりにくいと思います。
更に今後も後期高齢者が増えていくことが想定されることでエスカレーターは立ち止って安全に利用することが必要と考えます。

質問1.阪急川西能勢口駅及びJR川西池田駅周辺の送迎車の増加について

質問の詳細

以前より乗用車の送迎による路上駐車が慢性的に発生しています。
兵庫県警川西警察の調べでは駐車禁止違反件数は令和3年1月~12月で630件、令和4年490件、令和5年10月末現在450件です。
令和5年は令和3年よりも減少していますが、年間約500件の違反があります。

近年におきましては民間企業や教育、福祉機関等の送迎車が増加しています。
特に朝の通勤・通学の時間帯に多いよう認識しています。
駐車違反の強化をお願いしているのではなく川西市として現状をどのように認識されてるか?
今後は舎羅林山の開発が進み、物流施設や工場の整備が完了すると勤務される方の送迎バスが更に増えると想定します。
川西市としての考えを聞きました。
答弁では「更なる交通環境の悪化を懸念しており、歩行者の安全な交通空間の確保にあたっての対策を検討する必要がある。」とありました。
私は交流人口が増えることはまちの活性化になるのでとても歓迎できますが、見方を変えますと事故が起こらないか?と危惧しています。
JR川西池田駅前のバスロータリーの有効活用を提案しました。

質問2.ながらスマホの危険性について

質問の詳細

令和元年(2019年)12月1日より携帯電話等のながら運転の罰則強化による道路交通法が改正されました。
改正後、川西市での検挙数は令和3年1月~12月において267件、令和4年171件、令和5年10月末現在118件です。
駐車禁止違反件数と同様に令和3年と令和4年、5年を比較すると減少していますが、年間100件以上の違反はあります。
自動車以外にも歩行時や自転車の運転等、音楽を聴きながらや、携帯電話を見ながらの事故もあるかと思います。
そこで川西市としましても「ながらスマホ」の危険性について啓発するべきと提案しました。
特にワイヤレスイヤホンが普及し音楽を聴きながらの自転車はとても危険です。
川西市としては取り締まり強化をすることは難しいですが、自治体の責務として1件でも事故件数を減らすためにも啓発するべきと考えます。

質問3.エスカレーターの利用について

質問の詳細

商業施設や駅等では既に「2列に並んで下さい。」「歩いたり走ったりしないで下さい。」の表示やアナウンスがあります。
しかしエスカレーターを立ち止って利用している人は少ないと認識しています。
用事で急いでいる人や電車、バスに乗り遅れる等の理由でエスカレーターを歩いたり走ったりする人が減らず、なかなか浸透していないように受け止めます。
川西市として「エスカレーターは歩かず立ち止まって利用する」方向性を確認できました。

川北 将 

 今回は「本市における交通安全対策」について一般質問を行いました。
 本市の交通安全の取り組みは、実に様々な部署や事業者と連携して取り組まれています。でもなかなか交通事故ゼロになりません。歩行者、自転車、自動車などそれぞれが安全・安心に通 行できるよう、今後も市民や自治会、コミュニティ協議会などからの要望に対し、データに基づいた対策と市民や関係団体などへの交通安全啓発をし続けることが、交通事故の低減には重要であると考えます。そう思うと今の交通安全対策を1地区でも早く対策していただきたいと切に願うわけですが、安全・安心なまちづくりが本市の持続可能なまちづくりにつながるという認識のもと、今回の質問においても思いを本音で交わし、真摯な議論を行ってまいりました。

質問1.本市における交通安全対策について

  1. 交通安全対策における現状の取り組みと今後の計画について
  2. 対策状況の見える化について
  3. ヒヤリハットに基づいた対策の考えについて
  4. 市独自の自転車免許証を作成することについて
質問について

 近年の交通安全対策はデータに基づいた対策が進んでおり、民間事業者と連携してビッグデータを活用した交通安全対策を進めている自治体も見られるようになってきました。
本市における令和4年度から兵庫県のオープンデータを活用した交通安全対策も限られた予算の中でより効果的・効率的に事業を執行するうえで重要な取り組みだと感じています。
 警察庁によると、全国における交通事故件数は令和4年度末で30万1,193件と10年前の60万件超に比べると減少傾向にあります。しかしながら、本市においては令和3年度の交通事故増加により、兵庫県において「交通安全対策重点推進地域」に指定されました。また自転車事故が兵庫県下で減少傾向にある中、本市では令和2年〜令和4年の3年間における人口1万人あたりの自転車関係事故件数は県内で4番目に多い状況にあり、その状況を受けて令和5年4月1日〜令和6年3月3 1日まで県交通安全対策委員会より「自転車交通安全対策重点推進地域」に指定されました。
 また「中学校の自転車通学」が新時代創造プランで示され、それは自転車通学を認めてほしい声へ対応できる大きな前進だと考えます。そのうえで自転車講習を受けた子どもに市独自の自転車免許証を発行し安全意識向上を図る仕掛けができないでしょうか。
 中学校の自転車通学は子どもだけではなく、保護者としても自転車の交通ルールを覚えるいい機会ではないでしょうか。学校の駐輪場整備や保護者の理解など課題はあると思いますが、自転車も運転する人の安全意識、交通ルールを守っていくことで交通事故は防げると思います。 「自転車交通安全対策重点推進地域」に指定された本市における子どもへの自転車交通への安全意識向上に向けての課題や今後の取り組みについて伺いました。

 市の答弁としては、県の指定を受け、市では県のオープンデータを活用して各地区の交通事故ハザードマップを作成し交通安全啓発に取り組むとともに、イメージハンプや横断歩道のカラー化などの新たな取り組みを進めてきた。概ね5年間を目処に取り組んでおり2年目の状況であるが、市民への対策状況の見える化については、十分にはできていない実情であることから、今後、広報誌の特集記事やホームページを活用した対策内容等の周知について検討をしていくとのことです。

岡 るみ

 今回も「住み慣れた地域でずっと、自分らしく暮らせる地域づくり」の視点から、通告に従い、「障がいがある人の投票への支援について」「介護休暇の取得支援について」の2項目について、一般質問をさせて頂きました。

質問1.障がいがある人の投票への支援について

  • この課題に対する、これまでの取り組みと自己評価について
  • 例示した施策や、合理的配慮等への取り組み等に対する考え方、誰もが投票しやすい環境整備について
  • 実効的な取り組みを進めるため、当市においても、実態を調査すること等について
発言趣旨

 「行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。」
 これは「障害を理由とする差別解消の推進に関する法律(平成28年4月施行)」に定められた、行政機関における障害を理由とする差別の禁止規定です。

 1889(明治22)年、大日本帝国憲法により25歳以上の男性高額納税者に、国政選挙権が付与され、1925(大正14、昭和元)年には、納税制限を撤廃、1945(昭和20)年の日本国憲法制定で20歳以上の男女が参政権を得て、我が国では初めて、女性が政治に参画できることとなりました。
 ただ、その時も禁治産者(常に心神喪失の状態にあり、禁治産の宣告を受けた者のこと(旧民法第7条))は対象外で、2000年に禁治産制度から成年後見制度に移行した時も、公職選挙法により被後見人の選挙権は認められませんでした。

 「選挙権を認めるということは、権利の主体者として認めるということ」で、「障害者への選挙支援は、障害者基本法等に定める意思決定支援であり、差別解消法に定める合理的配慮でもある」、これは、2013(平成25)年の法改正により、被後見人に選挙権が認められた際の、ある障がい者団体の支援者の言葉です。
 「権利の主体者として認められる」という言葉が、あらためて心に響きます。

 今回、この課題を取り上げようと考えたのは、この春の統一地方選挙で、重度の障がいを持つ方が自ら投票所に赴き、周囲の支援を得て、投票をされたと聞いたからです。

 過去に1度、投票用紙が送られてきたので、投票所に行ったが、意思確認が難しいので、投票は出来ないと言われて、追い返されたように、本人は感じたそうです。
 投票事務を担う立場としては、当時の制度に則った選挙事務運営の対応だったのだろうと思いますが、「人間として認められていないのでは」と感じたという、ご本人の思いには、胸に迫るものがあります。

 その後は、現状がそうなら、もう投票用紙は送らないで欲しい、と思い続けておられたのだそうです。勿論、選挙事務運営上、為し得ない対応ですが、今回、周囲の理解と協力を得て、自らの手で、一票を投じることができたとの結果を、ホッとした思いで聞きました。

 ただ、それには、相応の努力が必要だったとのことで、一定の法改正等を経ても、未だ尚、障がいがある方の投票には課題があるのだと、あらためて思いもしました。

 その後、NHKの「みんなの選挙」というホームページで、今春の、統一地方選挙で、以前から障がい者の投票環境の整備に取り組んでいる、東京都狛江市(人口約8万2千人、日本で2番目に面積が小さい市、東京都のベッドタウン的な性格が濃い、高齢化率24%)が、全国で初めて(総務省見解)、障害のある人の投票率を調査したとの記事を見ました。

 「障害がある人の投票には課題がある」と言われるものの、これまで、その投票率の調査は行われていなく、実態はよく分かっていなかったため、狛江市は、この春の市議会議員選挙で、市内の障がい者手帳を持つ有権者の情報と、市議会議員選挙で投票した人の情報を照合して、投票率を分析し、投票率を調べたそうです。

 結果、障がいがある人の投票率は46.9%、狛江市全体の投票率50.7%に比べ、3.8ポイント低いという結果は、意外に差が無いようにも思えますが、今回、障害の種別ごとに分析もされていて、それをみると知的障がいで投票率が低く、障害の程度が重くなるほど更に低く、最重度の人は6.6%だったとの結果が出ています。

 また、身体障がいの内、手足や体幹に障がいがある「肢体不自由」の人の、最重度の人の投票率は25.8%だったそうで、狛江市全体の投票率の約半分だったと分析されてもいます。

 記事の中には、脳性麻痺の方の困難が紹介されていて、その方の「自分のように、行きたくてもいけない人達に、寄り添った支援が欲しい。インターネットを使った投票など、投票しやすい方法を考えてほしい」との言葉も紹介されています。そしてそれは、今回、お聞きした市民の思いとも重なりました。

 勿論、法整備が根本的な課題であり、国全体で議論されるべきことですが、住民の困難に直接向き合う地方自治体では、それぞれに工夫して、
 投票所でよくある問合せ等についてイラストや文字で記載したコミュニケーションボード(静岡県富士宮市等)、
投票支援カード(静岡県長泉町等)、
視覚障がいのある方に対する音声コードを入場券に付記し全世帯配布(東京都世田谷区)、
投票支援に関する動画作成(狛江市)、
知的障がい者の投票サポートDVDの貸し出し(枚方市)等、
「行きたくても行けない」人達への支援を、独自に進めています。

 先述の「みんなの選挙」によると、「障がいのある人たちが投票しやすい環境をつくろう」と、投票所の係員に向けた対応マニュアルを作る動きも、各自治体に広がっているそうで、これらを、総務省が、令和5年1月に「障がいのある方に対する投票所での対応例について」として、まとめています。

成年被後見人に選挙権が認められた2013(平成25)年に、狛江市が作成した「選挙事務における成年被後見人の方、障がい者の方への理解と支援について」(2015年改訂)では、各制度の説明、障がいの特性、投票所での対応Q&Aに、簡単な手話ハンドブックも添えられています。

 また、「選挙の投票時における障がい者への合理的配慮のお願い等について」(令和5年2月、十勝圏域障がい者が暮らしやすい地域づくり委員会資料)では、明石市の、投票を目的とした移動支援事業の利用で、一定の障がいを持つ方への負担免除を行っている事例等を取り上げ、「様々な困りごとがあり、投票をあきらめる障がい者もいる。ダメかもしれない、断られるかもしれないとの不安の中で、最初の相談や問合せの対応でショックを受ければ、二度と選挙に行かない、問合せも、相談もしないとなりかねない。可能な限りの配慮と、できる限りの丁寧な対応を」とお願いがされています。これも、先述の方が、体験された感想と重なります。

 支援の現場に向き合う方からは、「意思決定の支援」が最も大切と聞きます。2025年には、団塊の世代が後期高齢者となり、判断力に自信がもてない人が増えるとも言われます。
 制度導入後20年以上が経ち、必要な人に充分なサービスが届いていないのではと言われる成年後見制度ですが、もし、更に利用が進めば、後見人の選挙権行使に、今より更に具体的な支援が求められることになるのではないでしょうか。

 選挙においては、投票行動のみならず、候補者にも、議会でも、障がいがある人を阻む壁があるのだと、今回のことで、あらためて知りました。
 「みんなの選挙」の記事は、「こうした調査で具体的課題が認識され、必要な障がい者に必要な支援が行われることが期待される。こうした動きを全国で実現していくために全国的な調査が不可欠」と結ばれています。

質問2.介護休暇の取得支援について

  • 市職員等の「介護休業、介護休暇」の取得状況について
  • 市職員等における、「介護休業は、介護サービスの手配等、仕事との両立体制を整えるための期間であるとの理解の現状」、「制度に関する個別の周知」、「相談窓口の設置」、「制度に関する研修」の現状と課題について
  • これらを踏まえ、これからの、川西独自の施策の展開について
発言趣旨

 厚生労働省は、11月20日、家族を介護する必要がある従業員に対し、介護休業など仕事との両立支援制度を周知するよう、全ての企業に義務づける方針を示しました。
 政府は、2025年までに、介護を理由に仕事を辞める、「介護離職ゼロ」を、目標としてきましたが、2017(平成29)年、9万9千人と、一旦、10万人を切った介護離職者は、2022(令和4)年には、年間10万6千人と、増加に転じています。

 また、介護しながら働く人も、2012年の291万人から、2022年には364万6千人(総務省就業構造基本調査)と、増加が続いていて、団塊の世代が後期高齢者となる2025年以降には、介護をしながら働く人が更に増えると見込まれています。
 家族の介護にあたる人たちは、企業等の中核を担う管理職も多く、経済産業省は労働生産性の減少などで、2030年の経済損失は、9兆円を超えると推計しています。

 この課題を審議する、労働政策審議会(厚労省の諮問機関)では、委員から「介護が必要なことを社員が申し出やすい環境づくりが重要、パンフレットだけでなく動画等で周知しては」等の意見が出たそうで、支援制度を知らずに離職することがないよう、周知して防ぐため、2024年の通常国会に、育児・介護休業法の改正提出を目指すとのことです。

 現在、仕事と介護の両立を支援する制度としては、家族1人につき最大93日取得できる「介護休業」や年間5日間、時間単位での取得もできる「介護休暇」などがありますが、利用者は介護している従業員の約11%にとどまっており、このことからも、制度の周知や相談体制に課題があることが伺えます。

厚生労働省の調査(2023年、仕事と育児・介護の両立に係る現状及び課題)では、介護を理由に仕事を辞めた理由として
「勤務先の両立支援制度の問題や、介護休業などを取得しづらい雰囲気があった」が43.4%
「介護保険や障がい福祉サービス等が利用出来なかった、方法が分からなかった」が30.2%

離職前にどのような取り組みがあれば、続けられたかには(複数回答)
「支援制度に関する個別の周知」が55.1%
「相談窓口の設置」が33.7%
「支援制度に関する研修」が31.7% との結果が出ています。

 知識を得て、理解を深め、利用に繋げられたら、今ある制度でも、一定の支えになったのではと思うと残念な結果だと感じます。

 厚生労働省は、
40歳で介護保険に加入する際、全従業員に介護休暇等の支援制度を書面で知らせること
家族の介護が必要だと申し出た従業員には個別に周知し、必要な制度が選択できるようにすることを企業に義務づけ、
 周知の際には、介護休業は自らが介護に当たるためでは無く、介護サービスの手配等、仕事との両立体制を整えるための期間だと言うことも説明し、家族を介護している従業員の働き方については、テレワークを選択できるようにすることは、努力義務とするとしています。

 この方針を報じる11月20日夜のニュースでは、都内の大手建設会社の、介護離職防止の取り組みが取り上げられ、遠距離で親の介護をしている50代の男性管理職が、「制度も用意されているのは有り難い、相談の場がなければ追い詰められるかも」と、人事担当者は「介護離職防止の取り組みを更に進める必要を感じる」と、また、有識者の「国は企業に周知を丸投げではなく、どう周知するかの準備まですべき」との話が、紹介されていました。

 法整備は来年度の予定ですが、「高齢化率の高さ、高齢者数の多さ、高齢化の速度の速さ」が、他を凌駕する勢いで進む当市においても、喫緊の課題として取り組むべきであり、先ずは、市で働く人達の現状がどうなっているのかを総括し、それを踏まえて、今後、市内で働く人たちへの働きかけに活かすべきかと考えました。