令和5年9月定例会一般質問

令和5年度 第3回川西市議会 一般質問

岡 るみ

 今回も「住み慣れた地域でずっと、自分らしく暮らせる地域づくり」の視点から、通告に従い、「困難な問題を抱える女性への支援」「行方不明への備え」の2項目について、一般質問をさせて頂きました。

質問1.「困難な問題を抱える女性への支援」について

  1. 1987年に県内初の「婦人センター」を設置した川西市の、この課題に対する、これまでの取り組みと自己評価について
  2. 法整備に伴う体制整備への考え方について
  3. 法整備に伴う市民等への周知、デートDV防止のための授業の実施等、若年世代への啓発等について
発言要旨

 2022(令和3)年5月、「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」が議員立法で成立、2023年3月には関連する「基本的な方針が示され(厚生労働大臣公示)、2024(令和6)年の4月1日の施行に向けて、関係法令、施策の基本方針の策定等、体制整備が進められています。
 我が国の女性への支援(婦人保護事業)は、1956(昭和31)年に制定された「売春防止法」にもとづき、対象を「要保護女子(性交または環境に照らして売春を行うおそれのある女子)」として、主に「保護更生」を目的に発足しました。

 その後、支援ニーズの多様化に伴い、家族関係の破綻や生活困窮等の問題を抱える女性に事業対象を拡大、「要保護女子」を「保護更生させる」という、差別的、脆弱かつ専門性のない売春防止法上の婦人保護事業に、以下の被害者保護を上乗せする形で「女性支援」が行われてきました。
 1970年代以降、通達により、ホームレス女性、精神・知的障害があるひと等、「当面、売春のおそれがない者」に対象を拡大、
 2001(平成13)年、DV防止法の制定、婦人相談所(各都道府県に1カ所設置)に配偶者暴力相談支援センターの設置、
 2004(平成16)年からは人身取引被害者、
 2013(平成25)年からは、必要とする女性に支援や保護を届けるため、ストーカー被害者の保護等が、それぞれ事業対象として明確化されました。

 「売春防止法」から半世紀以上経過した今、なぜ、女性支援に関する新たな法整備が、支援が必要なのか、社会に対し、問われる形で、「現制度での支援の限界や人権視点の欠如」等を指摘して、新たな法律や体制整備の早期制定を求めてきた、支援現場等の切実な声が実り、今回の「女性支援新法」が成立しました。
 日本のジェンダーギャップ(男女の違いにより生じる格差)指数は、主要先進国(G7)で最下位、世界全体では146か国中125位(2023.6.1発表)、教育、健康分野は世界トップクラスにもかかわらず、政治参画、経済参画分野の値が低く、日本のジェンダー平等への取り組みには、課題があると言われ続けています。

 シングルマザーの2人に1人は非正規雇用と言われる中で、コロナ禍の影響は、とりわけ、販売やサービス業に従事する非正規雇用の女性に大きく、このことは、子どもの教育環境にも大きな影響があると言われます。厚生労働省の調査では、2021年の女性の自殺者数は7千人を超え、生活困窮や家庭内暴力等、課題を抱えた女性が増えている証左ともされます。

 新法では「女性の福祉」、「人権の尊重や擁護」、「男女平等」という視点を明確に規定、「生活困窮」、「性暴力・性犯罪被害」、「家庭関係破綻」など、複雑、多様、複合化、コロナ禍により、更に顕在化したこれらの課題に加え、「孤独・孤立対策」の視点も含めて、新たな女性支援強化を目指しています。
 新法には「教育・啓発、調査研究の推進、人材の確保、民間団体援助」といった、「国・地方公共団体が、困難な問題を抱える女性への支援に必要な施策を講じる責務」も明記されました。
 施行までの間に、国は本方針をまとめ、都道府県は基本計画を策定します。そして市町村は、基本方針に即し、かつ都道府県基本計画を勘案して、市町村基本計画を定めるよう務めることとなっています。
 新法では、都道府県は女性相談支援センター、女性自立支施設を必ず置くこと、「発見につとめ、相談に応じ、専門的技術に基づいて必要な援助を行う、女性相談支援員」を置くように務めることも求めています。市町村には、これらは求められてはいませんが、市町村に女性相談支援員が置かれれば、当事者にとって最も身近な相談支援窓口となり得ます。

 先日、この新法に関し、支援の現場に携わっておられる方からのお話を、聞く機会がありました。「これから求められる相談支援は、狭義のDV被害者(配偶者からの暴力のみ)ではない、多様な相談者がいて、障がい福祉との連携も必要、支援からの離脱後の継続支援も大事、DVと虐待を一つの問題として取り扱える、加害者への介入や家族の関係調整ができる人材育成、確保、体制整備、スキルの習得、支援方法の確立等々、現場に求められることは多岐に亘る」とのことでした。

 そして、新法に基づく支援が、より効果的に機能するためには、「専門職の正職員を常勤、複数配置し、研修、スーパーバイザー体制を整備、子育て、生活保護、障がい福祉、高齢者福祉、生活困窮等の部署と連携しやすい部署に配置することで、動きやすい体制をつくる」等、長年、支援の現場で、現状と戦ってこられた方ならではの、行政等に対する具体的な思いも聞きました。

 「当市では、1987年に県内初の婦人センターを開設、1989年には婦人対策担当を設置し、1993年には初めての川西市女性プランを策定、以降、概ね5年毎にプラン改定が行われている」というのは、2013(平成25)年9月定例会で、「男女共同参画社会を更に着実に進めるための取り組みについて」、一般質問した際の言葉です。

 その際には、「市民意識調査において、社会全体で男女の地位が平等になっていると感じている人の割合が前回調査から減少している等、残された課題は多い。プランに基づき具体的施策を着実に展開し、一層、実現を目指し取り組みたい」との答弁がある等、川西市には、同じくその質問の際に述べたように、「男女共同参画社会を実現するため、常に先進的な取り組みを進める」ことを目指してきた歴史があるのではないでしょうか。

 国が策定した基本方針に即し、今、都道府県で基本計画が策定されています。勿論、市としては、県の策定内容を勘案する必要がありますが、今まで、「常に先進的な取り組み」を進めてきた当市において、現場の思いに即した対応を進めるための検討、協議の場を、いち早く持つことは、真に法の精神を具現化するために、重要なことではないでしょうか。

 現場の声としては他に、例えば、自立支援施設に求められていることとして、
 ・市や県をまたがった支援、
 ・他の福祉施策(障がい福祉、生活保護による独り暮らし、地域におけるアフターケア、回復支援等々)を活用できるまでのステップとしての施設入所、
 ・児童養護施設のアフターケア問題と並んで、暴力離脱後、女性自立支援施設退所後の支援(地域定着、孤立
 ・再被害防止)等々の課題等も訴えられていましたが、これは女性のみならず、困難を抱え、生きづらさに悩みつつ、地域で暮らす多くの人に当てはまることではないでしょうか。

質問2.「行方不明への備え」について

  1. 「認知症みまもり登録」の現状と課題について
  2. 「靴ステッカー」の現状と課題について
  3. 「川西行方不明者SOSネット」の現状と課題について
  4. これらを踏まえ、これからの「行方不明への備え」について
発言要旨

 市のホームページによると、
「認知症みまもり登録」は、川西市に居住する65歳以上の方、及び、40歳以上65歳未満の介護保険の要介護認定受給者で、認知症等で行方不明になる可能性がある人が、住み慣れたまちで安心して暮らし続けられるよう、本人に関する情報を事前に登録する制度です。
 登録情報は、川西警察署、地域包括支援センター、民生委員、地区福祉委員に共有されることで、地域の協力により充実が図られた体制のもと、日頃からの地域での見守りが可能となります。
 万が一の場合も、認知症SOSネットワーク(民生委員、地区福祉委員、キャラバンメイトの代表等で構成される)が川西警察と連携し、早期発見に寄与することが可能となります。

 そして、登録申し込みを希望して、更に希望する方には、見守りのための「靴ステッカ−」の配布も行われています。

 これも、市のホームページによると、
 靴ステッカ−とは、認知症みまもり登録をしていて、希望する人に、車のライトなどに反射する靴用ステッカーを配布することで、行方不明の恐れのある人の事故を予防し、命を守ることを目的としています。靴ステッカーに記載された登録番号は、認知症みまもり登録の情報と紐付けされ、万が一の場合に、保護された本人の早期身元特定につながります。

 そして、川西市行方不明者SOSネットとは、その恐れがある人が行方不明になった場合に、少しでも早く安全に家族のもとに帰れるよう、事前登録している協力者に行方不明情報をメールで知らせ、多くの人の目で発見に繋げるようにするものです。

 これらの施策が相乗的に重なって、市民が万が一にも行方不明になることを防ぐ、もし一時的に所在が不明になっても、地域の見守りの目で、安心と安全を守る仕組みが一定、つくられています。
 私もこのネットワークの登録者で、場合によっては続けて、メールを受信することもあります。未だ、その情報により、該当者を発見できたことはありませんが、このように制度として稼働する以前、地域で福祉や見守り活動に携わる方々の、言ってみれば焦燥感から、先ずは市民による手作りで、メール配信等の仕組みづくりを試行錯誤していた頃を思うと、地域の声が一定、形になってきたのだと感じています。

 行方不明者への取り組みについては、2012(平成24)年3月の定例会で、「北部の住宅団地で、数日連続で、認知症または認知症と思われる高齢者の行方不明が発生し、無事に見つからない事例があった」ことから、通報から保護までのより実効性ある仕組みづくりをと訴え、また、2018(平成30)年6月定例会では、「SOSメール登録の課題や現状整理、関係機関との連携、データの管理」等についてを質し、また、2015(平成27)年の6月議会でも、「徘徊高齢者家族支援サービス事業」に関連した、他市での「見守りシール」等の取り組みについて、参考にすべきと、伝えました。
 他にも同様の質問等が出たこと、何より、地域の切実な声を受けて、今の仕組みが整えられてきたのだと考えます。

 ただ、先日、地域で見守り活動等を行っている方から、行方不明者発見の際の、靴ステッカー活用の仕組みについて、改善点があるのではないかとの意見を頂きました。内容を聞いたのが今で、事例発生は数ヶ月前ですので、その後、速やかに、その点については改善が図られたこととは思いますが、いずれにせよ、この「行方不明への備え」について、仕組みの構築、市民理解、関係者の周知等がどのように進んでいるかを、捉え直し、更なる実行的で敷衍的な取り組みに繋げていければと考えました。

川北 将 

 今回は「防災訓練におけるドローンの活用」「民法第233条 竹木の枝の切除及び根の切り取りの改正」について一般質問を行いました。
 安心して住み続けられると思う土台には安全があります。もちろん、安全は自分で確保するという考えが大事です。職場の安全は職場で守る、地域の安全は地域で守る、地域のことは地域で解決していくことが、地域の安全やまちへの愛着につながっていくのではないでしょうか。 ただ、自分たちで手が出せないところや自分たちで解決できないところに市役所としての役割があるのだと思います。安全・安心なまちづくりが本市の持続可能なまちづくりにつながるという認識のもと、今回の質問においても思いを本音で交わし、真摯な議論を行ってまいりました。

質問1.防災訓練におけるドローンの活用について

  1. 川西市防災計画におけるドローンの関わりについて
  2. 防災訓練におけるドローンの積極的活用の考えについて
  3. 消防本部におけるドローンの活用想定について
質問について

 近年、小型無人航空機(ドローン)を活用した災害状況把握のシステム構築が急速に進み、消防分野における災害時のドローン活用が注目されています。災害対応におけるドローンの活用については、頻発化している大規模水害や令和3年7月に発生した静岡県熱海市土石流災害において、その有効性が改めて確認されました。
 ドローンの機体性能向上や航空法改正による飛行環境の変化など、取り巻く環境が変化する中で、消防分野だけではなく防災・減災においても、より有効的なドローンの活用方法が求められていると考えます。
 本市においては、令和5年3月17日に川西市消防本部と株式会社ふるさと創生研究開発機構が「火災等の災害時における無人航空機支援協力に関する協定」を締結しました。本市は自然が豊かであり、それが魅力の一つなのですが、それゆえの懸念される土砂災害や森林火災などがあり、山間部や河川での状況確認、防災訓練での積極的なドローンの活用について、本市の考えを伺いました。

 市の答弁としては、川西市では令和元年度の水防訓練と令和2年1月の防災訓練にドローンを活用しており、今後においては災害時のドローンの支援協力に関する協定を締結したことから、実際の災害時の活用を想定した内容を訓練に組み込み、より実践的な訓練が行えるよう検討していくとのことです。私からは地域に合わせた防災訓練と現在の連携協定が火災などの災害時や研修、合同訓練での活用となっていることから、日頃の河川の状況や橋梁の確認、防災や危機管理などを含む包括した官民連携協定も必要ではないかと提案しました。

質問2.民法第233条 竹木の枝の切除及び根の切取りの改正について

  1. 市民からの相談件数と本市の対応、改善状況について
  2. 市道2091号における竹木の対応について
  3. 竹木の枝の切除及び根の切取りの改正における広報について
質問について

 これまで隣の家や民有地から越境した枝に関しては「所有者に枝を切っていただくようお願いをして、枝を切っていただく」しか方法はなく、越境されている側の土地の所有者が自ら枝を切ることはできませんでした。また、竹木の所有者がお願いに応じない場合には、枝の切除の訴訟を提起しなければなりませんでした。
 しかし、民法第233条 竹木の枝の切除及び根の切取りのルールが改正されたことにより、令和5年4月1日より所有者に催促しても越境した枝が切除されない場合や、一定の条件(1.竹木の所有者に切除するよう催告したにもかかわらず、竹木の所有者が相当の期間内切除しないとき。だいたい2週間と言われています。2.竹木の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき。3.急迫の事情があるとき。)でありますが、

 これらの場合には「越境されている側の土地の所有者が自ら枝を切ることができる」ようになりました。民法改正後も竹木の所有者が適正な管理を行う義務と責任があることや、原則としてまずは越境されている側が所有者に枝を切っていただくようお願いすることは変わっていませんが、この法整備によりこれまで市民が諦めていた社会通念が変化し、管理不全の民有地への対応も変わってくるものと捉えていますが、市の考えについて伺いました。

市の答弁としては、、、

 竹木のみの集計は取っていないが、全般的な集計として草などの繁茂については令和4年度の相談件数は161件、改善状況については49件と約3割の改善になっており、市としては所有地を適正に管理していただくことの周知が重要になる。引き続き竹木の越境なども含めた所有地の適正管理についてホームページなどにより注意喚起を行なっていくとのことです。

 今回の質問に至ったのは「竹林を整備してほしい」「竹が折れているから危ない」「暗くてなんとかしてほしい」との声があるからです。民有地の案件であり、まずは所有者が適正に管理していくというのが大前提ではありますが、こういった民法の改正内容も含めた周知や広報、事故が起きる前に手を打つ必要性を訴えました。

中井 なりさと

「子どもが幸せになる川西をつくる」政策はこども・教育からはじめる越田市長の方針に賛成です。
私は、常々もうしてきました。学校へ行くことがめちゃめちゃ楽しい学校、給食がめちゃめちゃおいしい学校、部活動がめちゃめちゃ楽しい中学校、そんな学校づくりをしてまいりましょうと。
 そして、子どもの声も聴いたってと申してまいりました。教育大綱をつくるうえで実現されるとのこと、子どもたち、そして保護者の喜びになればといいな思っております。

  1. 中学校及び特別支援学校訪問における児童生徒との意見交換の成果について
  2. 学校の公衆電話撤去に伴う対応について
  3. 中学校のスマホ解禁について
  4. 中学校部活動改革について
  5. 内水ハザードマップについて
  6. 内水氾濫の際の備えや対策について