令和6年度 第1回川西市議会 一般質問
岡 るみ
今回も「住み慣れた地域でずっと、自分らしく暮らせる地域づくり」の視点から、通告に従い、「若年性認知症への支援」「特殊詐欺対策」の2項目について、一般質問をさせて頂きました。
質問1.若年性認知症への支援について
- この課題に対する、実態把握、受け入れ施設、相談体制、治療に繋げる取り組み等に対する、これまでの取り組みと自己評価について
- 就労支援の現状、当事者の思いによりそう、制度の壁を超えた柔軟な取り組み等について
- 川西独自の若年性認知症対策の展開について
発言要旨
若年性認知症とは、40歳から64歳に発症した初老期認知症に、18歳から39歳迄に発症した若年期認知症を加えた総称です。18歳から64歳迄に発症した、認知症性疾患(アルツハイマー病、脳血管型、前頭側頭型、レビー小体型など)の総称でもあり、若年性認知症という独立した病気がある訳ではありません。
発症年齢で区分した概念なため原因は様々で、病理学的にも種々の疾患を含んでいて、高齢者における認知症とは異なった独自の問題点が生じてきます。(公益財団法人長寿科学振興財団健康長寿ネット)
2017年度〜2019年度に、日本医療研究開発機構(AMAD)認知症研究開発事業によって実施された、若年性認知症の調査では、我が国の若年性認知症有病率は18歳〜64歳人口10万人あたり50.9人、総数は3.57万人と推計されています。
発症は男性が多く、その課題としては
- ご本人が、仕事ができなくなることによる経済的問題
- 介護に伴う配偶者や家族の就業問題(就業の継続が困難)
- 介護疲れによる配偶者や家族の疲弊(または心身の病気等)
- 若年性認知症に対する周囲の理解不足等があり、いち早く社会福祉制度活用等に繋げるためにも、早期発見と診断が重要です。
この課題については、2018(平成30)年の6月定例会でも取り上げられ、「本人や家族が希望を持って生きられるよう支援を」と、実態把握、受け入れ施設、相談体制、治療に繋げる取り組み等について問われたのに対し、
「各地域包括支援センターにおいて支援を行っているが、認知度が低いこともあり受診や診断が難しく、正確な数は把握出来ていない」、
「受け入れ可能施設は市内に4カ所あるが、実績はない」、
「全ての地域活動支援センターに認知症地域支援推進員が配置され、相談に対応している」、
「りんどうの会(市内の若年性認知症の会)も相談体制を整備されている」、
「早期発見、早期治療については医師会等との連携で、本人、家族への働きかけを考えたい」、との答弁がされています。
更に、今後の取り組みとしては、
①「仕事の継続が可能なよう、企業等への働きかけ」、
②「関係機関との連携で、専門性の高いサービス提供可能な社会資源」、
③「虐待に繋がらないよう、早期発見、早期対応」
が必要であり、そのため、
「対応事例等についての講演会開催、病院窓口へのリーフレット設置等、広い周知が必要」との答弁もされています。
先日、市内在住で、若年性認知症と診断され、闘病を続けておられる方のお話を聞く機会がありました。診断に繋がる迄の戸惑いと不安、周囲の理解が得られず、仕事が継続出来なかったことの悔しさ、その後、ソーシャルワークにつながり、居場所を見つけつつ、家族で認知症と向き合う日々の工夫を穏やかに、思いを込めて話されていました。
56歳での発症から約9年、今、当事者として思うことをお聞きして、私なりにまとめると
現在は「就労継続支援A型事業所へ通所しているが、65歳以降も継続できるかが不安」
「本来は、一般就労を目指したい」
若年性ならではの課題としては、
「診断直後、行政のどこに相談に行けばよいか分からなかった」、診断後は「本人の病状や状況に合わせて、通所場所や居場所を選びたいが、制度の壁がある」
まとめとしては
「認知症の気づき、早期の受診、進行しないための努力を早くから始めることが大事」
「地域も、事業関係者等も、認知症と本人への正しい理解を深めてほしい」
「本人だけの交流会があれば」とのことでした。
どれも実体験から出た切実な内容で、乗り越えてこられた、そして今も続く闘病の日々を目の当たりにした思いで、聞きました。
川西市では今、認知症アクションプランを策定し、今後、実効性ある取り組みを加速させようとしています。国でも、新オレンジプラン(認知症施策推進総合戦略、2017年改定)において、若年性認知症施策の強化を打ち出しています。
ようやく声を上げ始められた当事者の思いをもとに、認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で、自分らしく暮らし続けることが出来る社会の実現を目指せればと思います。
質問2.特殊詐欺対策について
- 市内の特殊詐欺被害の現状、実態把握、情報の共有、啓発・周知体制等について
- 就労支援の現状、当事者の思いによりそう、制度の壁を超えた柔軟な取り組み等について
- これからの、具体的で強力な被害防止対策の展開について
発言要旨
兵庫県では今、「特殊詐欺被害が過去最悪のペースで増加」しているため、「被害者の約8割を占める高齢者の安全安心な暮らしを守るため、特殊詐欺集中対策本部を設置」し、「全国一の規模で対策を強化」しています。
2022年には兵庫県内で1,074件、約19億1千万円の被害があり、令和5年は過去10年で最悪だったその令和4年を上回るペースで被害が増加しているとのことで、「被害の入口になりやすい、固定電話にかかる電話に自動録音機能がついた電話機を設置することが被害の未然防止に効果を発揮する」(兵庫県ホームページ:知事メッセージ)として、「自動録音電話機等の購入補助、手口や対策の普及啓発」等の、特殊詐欺緊急総合対策が実施されています。
この課題は、昨年の3月議会でも、同僚議員により取り上げられ、「高齢者を狙った還付金詐欺などが発生していて、被害に遭わないための取り組みが強く求められる」と、質疑が行われました。
その際には、「川西警察への確認では、令和4年、刑法犯認知件数が33件、前年度比50%増で、被害はないが不審な電話等の相談が253件」との答弁があり、「市の消費生活センターで受けた詐欺の相談件数は、令和4年が184件、その内、還付金詐欺をはじめとする特殊詐欺は91件」と答弁がされています。
被害防止対策として、消費生活センターでは令和2年度から、自動通話録音機の貸し出し事業を実施、その後の3年間で合計513台を貸し出して、犯罪抑止の効果があったとの意見もあり、被害防止に繋がっているとのことでした。
また、川西防犯協会、及びその支部、川西警察署等との連携で毎月2回、市内のATMコーナーで街頭啓発活動を実施しているとのことで、私も昨年末に寒さの中、市内の商業施設前で、この取り組みに出会い、有り難い思いで活動を拝見しました。
ただ、これらが続く昨年の、ある日曜日の朝、「お金を振り込んでしまった!」と、市民の方から電話が入りました。前日、土曜日の午前中に、まとまった金額を振り込んでしまったとのことで、「どこに相談すればいいか」との問い合わせでした。
土曜日の朝、家族が誰もいない時に、「市役所です、還付金手続きに必要な書類を送りました。返信が未だなので連絡しました。今なら間に合うので、すぐ指示通り、手続きしてください。」と、電話があったそうです。もしかして、大事な書類を見落としたのか、家族の誰とも連絡が付かない、でも焦りの中、暫し悩んで、ATMから指示通り、手続きをしたそうです。
それを聞いて「直ぐに警察に!」と伝え、警察を通し銀行への手配が出来たそうですが、「他にも被害が出ている、回収は困難かも」との説明もあり、被害額を取り戻すことはあきらめるしかないと、覚悟されたそうです。
糾弾されるべきは偏に犯人で、被害者には一点の非もありませんが、それでも、後悔の念は止められないのかもと考えると、犯罪者に断罪をと強く思います。
先日、YouTubeの川西市公式チャンネルで、「川西市消費生活センター還付金詐欺編」を見ました。聞いた事例と、全く同じといっていい手法が紹介されていて、Web上には官民問わず、様々な団体が発出する同様の啓発動画が数多くありました。
長年に亘り、消費者被害防止に取り組んで頂いている「消費者の強〜い味方アカンマン」さんの、熱演に引き込まれつつ、同時に、これらの動画や寸劇等を、被害に遭う前に、一度でも見る機会があったらと、私自身ももっと広く、機会を捉えて伝える努力を、せめて周囲にだけでも出来ていたらと、後悔の念も憶えました。
今回、被害に遭われた方は、長年、とてもしっかりと地域活動等に取り組んでおられ、自他共に、「まさか!」の思いが強く、これだけ日々、様々な詐欺手口についての報道や啓発書類等を見て、誰もが被害に遭う可能性があると聞きながら、漠然と、一定、判断力に困難ある方が主に被害者になるのかもと考えていた自分の思い込みに、驚きもしました。
住み慣れた地域で最期まで、自分らしく暮らしたいと備え、蓄えた大切な資金を、騙し取られた結果、思い描いていた生活が難しくなったら、また、そのことが精神的なダメージに繋がって、自立した暮らしを送れなくなったら、当人も周囲も無念でしかありません。被害防止に、地域全体で取り組むことが、今後益々、必要と、あらためて思いました。
加えて今回、被害に遭ったら、先ず、どのように対処するのかについての、情報提供と啓発の必要性も感じました。
川北 将
1月1日に発生した能登半島地震により、犠牲となられた皆様に謹んでお悔やみを申し上げます。また、被災された皆様にお見舞いを申し上げるとともに、一日でも早く穏やかな日常を取り戻される日が来ることを祈っております。
昨年12月定例会に引き続き、安全安心なまちづくりの観点で「災害への備え」と「通学路における交通事故防止」について一般質問を行いました。
重要なのは、まずはこどもたちや市民の教育を高め、そして自主防災組織や消防、警察等まちの安全を充実し強化すること、その上に農業や産業の発展があるのだと思います。10年後、20年後を見据えながら、今何ができるか、今何をしておかなければならないのか、私自身も引き続き考え、提案・行動し続けてまいります。
質問1.災害への備えについて
- 能登半島地震への対応を踏まえ、地区防災計画への反映等、今後の計画について
- 本市の山間地帯で孤立する可能性がある集落とその対策について
①想定している地域について
②通信手段の確保について
③ヘリコプター等離着陸適地等の選定・確保について - 今後の防災訓練の計画について
質問について
29年前に発生した阪神・淡路大震災による本市の被害状況として、市内で4名の方が亡くなられており、重軽傷者は551名、家屋被害は全壊が554棟、半壊が2,728棟となりました。今後30年以内に高い確率で発生すると言われている南海トラフ地震への備えについても、市民と対話を重ねながら、早期に進めていかなければなりません。
本市の災害対策事業としては、災害情報災害情報システムの導入や災害用備蓄物資の配置、出前講座や令和5年11月26日に地区防災計画が作成済みの清和台地域と連携して川西市防災訓練が実施されました。「自助」「共助」「公助」それぞれが災害に備え、いざという時に行動できるよう、今後もより一層の連携が求められています。また、地域で行う防災訓練に小学生や中学生等、未来を担うこどもたちが積極的に関わり防災意識向上を図る仕掛けや考えについてお伺いしました。
市の答弁
本市では山間地帯で孤立する可能性がある集落として「芋生・若宮・国崎・黒川」が想定されている。芋生・若宮のヘリコプター等離着陸適地等の選定については近隣の民間ゴルフ場との提携を検討する。また、来年度の本市防災訓練は地区防災計画が作成済みの「多田東コミュニティ」との合同開催を計画している。こどもたちと一緒に防災訓練を行うことについては、教育委員会としても学校と地域の合同訓練が効果的だと考えている。
意見
地元の方、コミュニティの方と対話すると土砂災害への不安の声があります。陸路が土砂災害で断たれると、救助は空路しかありません。また災害時の初期調査、捜索、物資輸送などにドローンが活用できます。有事のコミュニケーションではなく平時のコミュニケーションが大事です。想定地域は衛星携帯電話と発電機を配備していますが、一斉停電になると夜間においては地震の揺れと合わせて暗闇で不安になります。明かりがあることで気持ちが休まることもあるので、投光器や毛布などの配備、平時の備えの追加はぜひ検討を進めていただきたいと訴えました。
他人事ではなくて自分事としてとらえる仕掛け、例えば防災小説でこどもたちが災害時に適切に行動できる力を身に付けられるよう「まず自分の命を守り、次に身近な人を助け、さらに地域に貢献できる人」を育てる防災教育を進めていただきたいと思います。
質問2.通学路における交通事故防止について
- 通学における児童の交通事故発生状況について
- 令和5年度における通学路の危険箇所の調査、対策の見込みと今後の予定について
- 学校での通学指導の課題について
- 児童自身が登校旗を使って集団登校する考えについて
質問について
平成24年4月以降、通学途中の児童が自動車にはねられ、死傷する痛ましい交通事故が相次ぎました。また、令和3年6月には千葉県八街市においても通学中の児童の列にトラックが衝突し、小学生2名の尊い命が奪われるという非常に痛ましい交通事故が起きました。
本市においては、安全プログラムをもとに小学校ごとに教育委員会と公安委員会、道路管理者、学校関係者らが連携し、通学路の安全点検や安全確保を図る取り組みが実施されており、各年度の調査結果と安全対策が市ホームページで公表されています。令和3年度は交通課関係で112件、令和4年度は交通課関係で113件について調査と対策が実施されています。
児童の安全を確保しなければならないという思いのもと、本市においては保護者や地域の見守りボランティアの方々が学校安全協力員として活躍していただいています。また、通学路の交通事故防止については運転者、保護者、地域、児童それぞれが目を配ることに他なりません。児童が安全に通学できるようにするための道路整備と教育の両方が重要だと考え、通学路における交通事故発生状況と今後の課題について伺いました。
市の答弁
通学における児童の交通事故発生状況については、令和5年度6件、4年度5件、3年度5件発生している。令和5年度における通学路の危険箇所調査は交通課関係で106件であり68件が対策済み。現在実施している通学路における危険箇所調査と対策については、今後も継続していく。
意見
滋賀県竜王町では、集団登校の班長と副班長が登校旗を使って、より安全に児童が横断歩道を渡れるよう取り組まれています。地域のボランティアの方々による見守りに加えて、児童自身が行うことで歩行者・自転車・自動車それぞれの安全意識向上につなげられるのではないかと訴えました。この小学生の取り組みでは、横断歩道で止まってくれた自動車にこども達が会釈する姿を見て、運転手も「ありがとう」の気持ちが芽生えるそうです。
交通事故を起こすのは運転手側にあるので、まずは運転手側が安全第一、ルール遵守で運転すること、これを徹底していくために本市でも啓発しているわけですが、本市以外の運転手や最近は工事用のトラックの増加など交通状況も変化しています。今の見守りボランティアの方を否定するつもりではなく、小学生が安全に通学するために「こどもたち自身の取り組み」も追加することでさらに有効ではないかと考えます。